令和6年元旦に発生した能登半島地震で被災した町民が集まる避難所にて、自販機をチェーンソーで破壊した集団がいるという報道が誤りだったことが判明しました。
実際のところはどういった経緯だったのか、解説していきます。
自販機強盗の報道概要
2024年1月5日、地震被災者の避難所となっている県立穴水高校で自動販売機が壊され、飲料と金銭が盗まれたという事が目撃者の証言から分かったというニュースが流れました。
読売新聞オンラインより
自動販売機の破壊が行われたのは、地震が発生した1日の夜。
同日午後8時頃、校庭に金沢ナンバーの車が見え、40~50歳代の男女4、5人の集団が校内に入ってきた。集団は「緊急だから」とだけ話し、女の指示を受けた複数の男がチェーンソーとみられる道具を使って自動販売機を破壊し、飲料水や金銭を盗んだという。
目撃者の男性は「けたたましい音が学校中に響き渡っていた。避難所はパニックになり、誰も止められなかった」とおびえた表情で語った。同校の島崎康一校長は「避難者も不安に感じているので、許せない」と憤った。
読売新聞オンラインより
目撃者の30代男性と学校関係者の証言もあり、ネットには「許せない」という声が溢れました。
しかし実際に避難所に居た人物からの書き込みで、この報道は誤りである可能性が浮上します。
新たな証言
Yahoo!ニュースのコメント欄に、この記事が誤りだというコメントが書き込まれ、このコメントを書いた人物がX(旧Twitter)にも投稿をしています。
現在該当ニュースは削除されており閲覧できませんが、書き込まれたコメントは以下です。
Yahoo!ニュースコメント
自販機が破壊されたのは地震発生直後の1月1日夜で、記者さんは当然その場には居なかったのでしょうから、実際に取材で訪れ破壊された自販機を見て証言を取ったのはおそらく数日後だと思われますね。
実際の自動販売機破壊の経緯
以下に、最初に報道されたニュース(前)とコメントを書き込まれた方のお話(後)とをまとめてみました。
- 40~50代の男女の集団が自動販売機を破壊 → 女性は高校の事務局長、男性たちは発電機などを提供してくれた建設会社の方々で、停電のためこじ開けるしかなかった
- チェーンソーで → サンダーで
- 飲料水と現金を盗んだ → 飲料水は避難者に配り、現金は許可を出した事務局長に預けて適切に管理されている
- 金沢ナンバーの車 → 穴水は石川ナンバーだが金沢ナンバーの車も違和感のないくらい走っている
- 30代男性の証言がある → 外にいて一部だけを見た車上生活者だと思う
- 校長の証言がある → 校長と他のお偉いさんたちが現場を訪れたのは役場の仕事始めの4日で、事務局長と話をする前に取材を受けている
その他にも、そもそもチェーンソーで鉄は切れないという投稿もたくさんありました。
以下のXの投稿で詳しく証言されています。
事件性無しとの続報
北國新聞のニュースで、自販機破壊は避難者の為で許可を得ており事件性は無しとの続報が出ました。
能登半島地震の避難所となっている穴水町の穴水高で1日夜、男女数人が自動販売機を壊し、同校の避難者用に飲料水を置いていったとみられることが6日、同校などへの取材で分かった。自販機を壊した人は「自分も避難者で、飲み物を確保するために自販機を壊していいか(管理者に)確認した」と話しており、石川県警は事件性はないとの見方を示している。
北國新聞
実際には避難場所の高校には食糧も無く備蓄の飲料水も少なかった為に、やむなく停電で動かない自販機を壊すしかなかったという事だったようです。
この破壊行為はきちんと許可されたものだったようですが、被災地では不審者や不審車両の目撃も多くなっており、実際に逮捕者も出ております。災害の混乱に乗じての犯罪行為はもっと重罪にして欲しいと個人的には思います。
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