はじめに
俳優の佐藤浩市と息子の寛一郎は、映画『せかいのおきく』の完成披露試写会に父子そろって登場し、話題を呼びました。2人は同作で実際に親子役を演じており、舞台あいさつではその絆が垣間見える場面も。父子の俳優人生について、さまざまな視点から探ってみましょう。
俳優デビューと共演作品
佐藤家の2世俳優である寛一郎さんは、どのようにして芸能界に足を踏み入れたのでしょうか。また、父子が共演した作品の裏側にあるエピソードなども気になるところです。
寛一郎のデビューキッカケ
寛一郎さんは、当初は音楽の道を志していました。しかし、祖父である三国連太郎さんの葬儀でスカウトされたことがきっかけで、2017年に「寛一郎」の名前で俳優デビューを果たしました。俳優の家系を持つ寛一郎さんですが、その道へ進むきっかけは予想外のものだったようです。
また、デビュー当初から注目を集める逸材でした。2018年には「蜜蜂と遠雷」で新人賞を受賞するなど、次々と新人部門の映画賞を獲得。若手実力派として着実にキャリアを重ねています。
『一度も撃ってません』での親子共演
佐藤浩市さんと寛一郎さんが親子役で初共演したのは、2020年公開の映画「一度も撃ってません」でした。阪本順治監督作品で、2人は親子の絆を演じ分けています。
作品名 | 役柄 |
---|---|
佐藤浩市 | 高野親分 |
寛一郎 | 高野の息子 |
撮影で2人は親子の掛け合いを演じ分けましたが、オフのときは実際の親子のように自然体。監督は「本当の親子のようだった」と振り返っています。
『せかいのおきく』の親子共演
そして今回の『せかいのおきく』では、佐藤浩市さんが武家の娘おきくの父・源兵衛を、寛一郎さんがその下僕の役柄を演じるという、実際の親子関係にも通じる設定で共演しています。
舞台あいさつでは、佐藤さんが「並びが嫌だ」と恥ずかしがる一幕もあり、会場が親子のかけ捨てなまな関係に笑いを誘われました。一方で、寛一郎さんは「この忌々しい佐藤家のDNAを100年後も残していきたい」と宣言し、2人の絆の深さも感じられる場面でもありました。
系譜と俳優の絆
俳優一家の佐藤家には、実は長い歴史があります。佐藤浩市さん、寛一郎さん、そして祖父の三国連太郎さんと、代々俳優を継承してきた家系です。
三代にわたる俳優の系譜
佐藤浩市さん自身、親子で俳優を継承する経験はありませんでした。しかし、父である三國連太郎さんとの関係は複雑で、「父親であり役者」と捉えていたと言います。そんな三國の活躍を、息子の寛一郎さんにも見てほしかったようです。
三代にわたる俳優の系譜は、必ずしも円滑ではありませんでした。しかし、その絆は固く、受け継がれる役者魂があったことは間違いありません。
佐藤家の俳優DNAを継承
寛一郎さんが、「この忌々しい佐藤家のDNAを100年後も残していきたい」と発言したのには、そうした役者の家系を重く受け止める思いが込められていたのかもしれません。
父・佐藤浩市さんとの絆を大切にしながら、俳優としてのキャリアを重ねる寛一郎さん。今後の活躍が期待されるとともに、家族の歴史とDNAを受け継いでいく姿にも注目が集まりそうです。
父の影響と子育て
佐藤浩市さんは俳優として活躍する一方で、寛一郎さんをはじめとする子育ても熱心に行ってきました。しかし、子育てへの後悔の念もあり、近年は里親活動にも力を入れているそうです。
寛一郎への評価と期待
寛一郎さんは次々と新人賞を獲得するなど、俳優としての実力は高く評価されています。しかし、父・佐藤浩市さんからは「まだ一人前ではない」と厳しい評価があるといいます。
佐藤さんは三國連太郎の活躍を寛一郎に見せたいと願っており、実力俳優への期待値は非常に高いようです。また、本人も俳優一家の重みを感じているのかもしれません。
父親としての後悔と里親活動
一方で、佐藤さんは自身の子育てを振り返り、反省点も多かったようです。そうした思いから、5年以上前から里親活動を始めています。里子たちと過ごすことで、父親としての学びを深めているそうです。
- 撮影現場に里子を連れて行き、ものづくりの現場を体験させる
- 妻の亜矢子さんとのコミュニケーションが増えた
里親活動を通して、佐藤さんは「良き家庭を作る」という思いを強めているようです。寛一郎の子育てでは成し遂げられなかった部分を、改めて実践しているのかもしれません。
『鎌倉殿の13人』での親子共演
『鎌倉殿の13人』では、佐藤浩市さんと寛一郎さんが親子役とはならずに別々の役を演じています。しかし、父子の演技が重なり合う場面もあり、注目を集めています。
頼家の次男・公暁役の寛一郎
寛一郎さんは、2代将軍・頼家の次男で出家していた公暁を演じています。史実では横死した人物ですが、脇役ながらも物語の重要な展開を担う役どころです。
演技派の寛一郎さんは、出家僧の内面の揺れを見事に表現。視聴者の間でも、「実朝によって実権を追われる公暁の心情がよくわかる」と高い評価を受けています。
上総介役の佐藤浩市
一方の佐藤浩市さんは、物語前半で頼朝を支えた上総介を演じていました。北条義時らの策略で非業の最期を遂げるなど、視聴者の印象に残る役柄でした。
佐藤さんの上総介の死去シーンは切なく描かれ、ネット上では「上総介ロス」と言われるほど。終盤に向けて、頼朝への思いを受け継ぐ存在がいなくなった虚しさが伝わってきます。
時を超えた親子の絆
同じ大河ドラマに出演しながら、実際には共演シーンはありませんでした。しかし、視聴者の心に残る名場面を演じた佐藤と寛一郎。時代を超えて受け継がれる「親子の絆」が感じられたのではないでしょうか。
大河ドラマは終了しましたが、2人の演技と名場面の数々は、長らく語り継がれることでしょう。
まとめ
佐藤浩市さんと寛一郎さんの父子は、俳優としての活躍から里親活動、家族の歴史まで、さまざまな側面を持ち合わせていました。お互いを高め合い、尊敬し合う良き親子関係が感じられます。
寛一郎さんは俳優一家の重みを感じながら、佐藤家の「DNA」を未来へと継承していくことでしょう。父・佐藤浩市さんはそうした息子の姿を見守りつつ、新たな家庭を築く想いをこめて里親活動に取り組んでいるようです。
歴史に裏打ちされた家族の絆と、次代への継承の姿。父子二人にまだ見せてもらえる俳優人生を、今後も応援したいと思います。
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